2011年12月14日水曜日

NHK 12月10日の放送

第一ラジオのラジオあさいちばん 土曜あさいちばん ふるさと元気情報の中で高原町をとりあげてもらい灰干しを中心に取り上げてもらった内容の原稿を入手したので転記します。


 さて早くも師走、この一年を振り返りますと、宮崎では年があけて間もなく1月26日に新燃岳(しんもえだけ)が噴火し、約300年ぶりに本格的な火山活動を始めるという大変な年でもありました。今朝はその火山灰が降り積もった町、高原町(たかはるちょう)のあるチャレンジについてお伝えします。

高原町は、宮崎市から車で約1時間、鹿児島県との県境に接し、霧島火山群がそびえ立つ緑豊かな町です。そんな静かな町を突如襲った大噴火、家ほどもある大きな岩を噴き出す山の姿に人々は恐れおののきました。煙が真っ暗に空を覆い、家屋の揺れが続きました。そして始まったのが火山灰との戦いです。町にはこの噴火で鹿児島県の桜島の一年間分の灰の10倍を超える量が降り積もったと言われています。

対策に追われる町に、火山灰を集めて「灰干し」を作ってみないかと訪れたのが、東京の大妻女子大学大学院で被災地復興などを研究する干川剛史(ほしかわつよし)教授でした。「灰干しって何?」最初は誰もが戸惑ったそうです。

「灰干し」とは、燻製でも干物でもなく、灰を使って食材を熟成させていく製法です。日本では三宅島が噴火した際に復興支援プロジェクトとして行われ、今は各地で作られてはいますが、そのほとんどが魚などを使ったものです。今回、海のない高原町が取り組んだのは、他に類を見ない「肉」の灰干しでした。これが成功すれば全国に誇れる特産品が誕生するかもしれない!まちづくりのために様々な活動をおこなっているNPO法人たかはるハートムを中心とするメンバーが立ちあがりました。

山の幸を生かし、鳥や豚そしてシカやイノシシなど様々な肉で試作品が作られました。塩水で味付けし、特殊なセロハンと布、そして火山灰でサンドイッチ上に包んで、低温で24時間熟成させます。灰は正確には軽石火山灰と呼ばれ、沢山の穴があります。強力な吸収効果で余分な水分や臭みを吸収し、また灰の重みが重石となってうまみを凝縮します。これが実に美味しいんです。灰で肉がこんなにも美味しく変化するとは町の人にとって驚きでした。その後試行錯誤を重ね、この秋ようやく商品化にこぎ着けました。現在商品は鳥のもも肉とレバー、今後シカ肉にも期待が寄せられています。私も食べましたが本来の肉の味わいがぐっと伝わってくる深い一品でした。

また非常に興味深いのが、パッケージです。高原の復興応援キャラクター「新もえたん」が描かれています。両手を広げた元気な女の子というイメージだそうですが、新燃岳からとった名前もさることながら、頭が火山になっていて笑顔でもくもくと煙を出しているんです。

これだけの恐怖と灰をもたらした張本人をキャラクターにするということに疑問を感じた私は、たかはるハートムの代表、谷山天一(たにやまひろかず)さんにたずねました。すると、「あの山がすぐ側にある、ここが私たちの故郷なんです。ここに住む人は昔から山と共に暮らしてきました。ここに町がある以上、私たちは自然と向き合って共生して生きていくんです。」と話してくださいました。

自然への畏敬の念を決して忘れることなく、故郷を愛し続ける人々の想いにピンチをチャンスに変えて立ちあがろうとする強さと誇りを感じました。宮崎に機会がありましたら、ぜひみなさんにこの「灰干し」を食べて高原町のパワーを感じとって頂きたいと思います。


以上

全国の方々が聞いている番組であちこちから問い合わせや励ましの電話がある。
うれしいことです。

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