2011年6月16日木曜日

灰干し 西日本新聞朝刊

火山灰と獣肉、魚で「灰干し」 「厄介者」を特産品に 高原町のNPO法人

2011年6月15日 00:27 カテゴリー:九州 > 宮崎
「ピンチをチャンスに変えたい」と話す谷山天一代表
灰干しにしたシカ、鶏レバー、ニジマスなどの試作品
 「灰干し」って何?。それがスタートだった。
 灰干しは国内の一部地域で作られ「高級干物」とされる。霧島連山・新燃岳(しんもえだけ)を望む宮崎県高原町のNPO法人・たかはるハートム(谷山天一(ひろかず)代表)も商品化を模索する。
 今年2月中旬、火山灰を使った被災地振興などを研究する大妻女子大大学院(東京)の干川剛史教授(社会学)が町を訪れた。「一体何のために?」。当初はいぶかった。東京・三宅島の噴火被害後の取り組みを紹介され、半信半疑で灰干しを作り試食会を開いた。「おいしい、おいしい」と参加者たち。レバーが苦手な谷山さん自身もペロリと平らげた。「これは、いける」と確信した。
 新燃岳噴火の「厄介者」火山灰。降灰のため餌を求めて里に下りて来るシカやイノシシは畑を荒らした。頭の痛い厄介者二つを「一石二鳥」で利用して特産品にできるのではないか-。思いは膨らんだ。
 灰干しは、水分を通すセロハンと綿布で食材をくるみ、上下に火山灰を重ねて24時間乾燥させる。灰のミネラルがうまみ成分を閉じ込め、臭みを消す。天日乾燥などに比べ油脂の酸化も少なく、上質な干物となる。全国的に野生の獣肉は販売例がなく「セールスポイントになる」という。
 「シカが、イノシシが、レバーが臭くなく、柔らかくて、うま味が深い。鶏肉やニジマス、野菜も絶品です」。「ピンチをチャンスに」と谷山代表の鼻息は荒い。
 「灰干しが特産になれば雇用も生まれる。噴火に負けない高原町もアピールできる」と、本職は町職員の谷山代表。逆転の発想で町活性化をもくろむ。
=2011/06/15付 西日本新聞朝刊=

0 件のコメント:

コメントを投稿